遥かユティエスの空
細かく丁寧に作られた世界観、ファンタジーだから、で終わらせないリアルな設定の構築。そうした土台の上で展開される個性あふれるキャラクター達の王道ストーリー。
そういったいわゆる「根幹の完成度の高いファンタジー」を求める読者にとって、この作品はきっと満足感を与えてくれる名作の一つだろう。
すべてを吞み込む白い砂におびやかされる王国から始まるストーリーは、一幕一幕を手を抜かず描かれており、文章も正当派でするりと頭に入って来る。
さらに味方だけでなく敵にも魅力的なキャラクターがほしい、と思う人はよりお勧め。主人公だけを活躍させるために作られた物語ではなく、物語に翻弄されるキャラ全てにほどよくカメラが当たっており、飽きさせないつくりになっている。
悪い意味でのライトさを感じさせない、正当派ファンタジー。