魔獣、往くべし
- イシバシヨシウミ
- 2015年4月8日
- 読了時間: 1分
暴力に屈した過去を清算するため、自らを鍛え格闘術を身につけた主人公。
そんな彼が自らの努力とは無関係に謎の突然変異現象に襲われ、強大な怪物へと変貌するという物語。
現代日本を舞台にしたダークヒーロー小説、あるいはホラーヒーロー小説とも言うべき作品である。
ストーリーは陰鬱な雰囲気をまとっていて、時に激しく生々しい戦闘シーンが容赦なく描写される。卑劣な暴漢達や、得体の知れない同属達を相手に、魔獣と化した主人公が悩み迷いながらも異形の暴力で立ち向かって行く。
やや漫画的な悲鳴や咆哮の表記が多いが、地の分の体裁が安定しており、危なげなく読み進めることができる。また作品の傾向上、登場する全てのキャラが暴力にさらされる可能性があり、直接的な性描写も多い。
だがそれゆえに野生的な魅力のある小説に仕上がっており、まじりっけのないバイオレンスアクションを堪能することができる。
夢枕 獏の小説を好む読者にはピンとくるものがあるだろう。
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