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作品リスト

最果てのパラディン

転生モノではあるが現代日本で死を迎えた主人公の前世でのエピソードがほとんどなく、また手違いを起こした神様からチート能力をもらうなどのありがちな都合のいいボーナスも一切ないため、事実上ハイファンタジーの世界をほぼ一から冒険するストーリーとなっている。

赤ん坊に転生した主人公が地道に成長し、世界の成り立ちやありさまを紐解き学習していくところから物語が始まるわけだが、ファンタジー世界の作り込みが生半可ではなく、魔法や魔物の設定などそれ自体がオリジナリティと魅力にあふれたものに仕上げられている。

既視感にあふれた世界観をだらだらと説明されるのは読むのが苦痛になることがままあるが、この作品に関してはそういったことが一切ない。

設定説明が楽しい作品は良質なファンタジー小説の要素の一つであるが、最果てのパラディンはそのお手本のような小説と言える。

さらに作者の地力と言うべきか、読者の感情をあおる文章力が全編を通していかんなく発揮されており、燃え上がるような王道冒険小説として完成されている。

珠玉の一作。是非お試しいただきたい。

*2016年3月25日にオーバーラップ文庫より書籍化

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