かまどの嫁
- 紫 はなな
- 2015年4月12日
- 読了時間: 1分
陰陽師の家に嫁いできたにも関わらず、霊力がないために奥方様からかまどの見張り番にされた娘の話。
あまりにかまどから離れないためにかまどの嫁と呼ばれ、ひたむきに菓子を作り続ける主人公。苦労を背負った嫁の暗い話かと思いきや、娘の作る甘い和菓子に引き寄せられ、甘党のあやかしがわやわやと寄って来る。
あやかしと神様を巻き込んでのお菓子物語である。
熟練の文章がおりなす物語は非常に人情味があふれる味わい深いもので、和菓子の描写のメシテロ度は夜間閲覧注意ともっぱらの評判である。
時代背景は平安~江戸あたりを想定しているため、登場人物は良い意味で古臭い言葉遣いの者が多く、どこか懐かしい純和風ファンタジーを味わえる。それでいて陰陽道や菓子、時代に対する造詣が深く、思わずうならされる描写もしばしば。
心温まる、のんびりとした話があるかと思いきや、ひやりとするような展開も用意されている。一作でいく種類もの味を楽しめる小説となっている。
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