燦然のソウルスピナ

魔の者の領域で戦うための能力を持つ人間の聖騎士アシュレと、夜魔の姫の物語。

バリバリのダークファンタジー・ハイファンタジーで、過酷でシビアな幻想戦記を描いている。

人間と魔物が同時に存在する中世ヨーロッパ風世界を舞台にしているが、強大な魔法や便利なアイテムがそろったいわゆるライトファンタジーの世界とは異なり、人間サイドの戦力はかなりとぼしい。

聖遺物や一部の特殊な武器を持った英雄達を除いては魔物とまともに戦うことすらできず、しかも人間同士の殺し合い、政争などもある。夢と冒険の世界とは程とおく、だがそれゆえに一戦一戦に手に汗握る緊張感が生まれている。

何者かに奪われた聖なる遺物を奪還するために奔走する主人公アシュレは、聖遺物と因縁を持つ夜魔の姫、彼女と行動を共にする土蜘蛛の王と出会い、世界を巻き込む大事変へと足を踏み入れて行く。

物語の大筋はシリアスで深刻な内容だが、特に土蜘蛛の王のコミカルな性格がイベントの要所要所で緩和剤となり、一時の癒しを与えてくれるのがうれしい。

作品にはイラストレーターのまほそ氏が数多くの挿絵を提供しており、本編の高い文章力、構成力とともにそのまま出版化できるレベルの作品クオリティに仕上げられている。

なろうとは別に作者ページで先行掲載されている分もある。